今回は建築物環境衛生管理技術者(けんちくぶつかんきょうえいせいぎじゅつしゃ)という資格についてです。
長い名前なのでビル管理技術者やビル管理士と略されたりします。
建築物の環境衛生が適切に維持管理されているかどうかを担保する資格で比較的業界ニーズが高い国家資格です。
ビルやマンション管理業者で必要とされる場合もあり、取得しておけば就職に有利になるでしょう。
建築物環境衛生管理技術者 資格概要
どうすれば建築物環境衛生管理技術者の資格が取れるのでしょうか?
詳しく見ていきたいと思います。
受験資格
受験には環境衛生上の維持管理に関する業務に2年以上従事した(又はしていた)方ということが必要です。
なんでもいいわけではなくて、建築物の用途と実務に関する細かな決まりがありましてこれが結構めんどうです。
建築物の用途
- 映画館、劇場、百貨店、公民館、結婚式場、市民ホール、図書館、博物館、美術館、ボーリング場など
- 店舗、事務所
- 学校
- 旅館、ホテル
環境衛生上の維持管理に関する実務
- 空気調和設備管理
- 給水、給湯設備管理
- 排水設備管理
- ボイラー設備管理
- 電気設備管理
- 清掃および廃棄物処理
- ねずみ、昆虫等の防除
もしご自分の経験がこの建築物の用途と実務に当たるかどうか判断に迷う場合は、日本建築衛生管理教育センター国家試験課(03-3214-4620)に問い合わせてみるといいでしょう。
試験内容
試験内容
- 建築物衛生行政概論
- 建築物構造概要
- 室内環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
- 清掃
- ねずみ、昆虫等の防除
合格率
毎年約1万人が受験し、1,000人から3000人の合格者で推移しています。
だいたい合格率は10%~30%ということですね。
難易度
7科目の合計で65%以上の正解率、各科目で40%以上の正解率が必要です。
なかなか難しい試験といえますが、ある程度勉強時間を捻出できるのなら独学でじゅうぶん取得可能です。
過去問のテキストをしっかりと読み何度も勉強する方法がおすすめです。
講習を受けて取得する方法もある
試験を受けずにこの資格を取得する方法もあります。
しかしながらこちらは受験資格よりも厳しい以下のような条件があります。
受講可能な学歴
- 大学の理学、医学、歯学、薬学、保険学、衛生学、工学、農学、獣医学の課程を卒業(卒業から1年以上)
- 防衛大学校の理工学の課程を卒業(1年以上)
- 海上保安大学校を卒業(1年以上)
- 短期大学などの医学、理学、歯学、薬学、保険学、工学、農学、獣医学の課程を卒業(3年以上)
- 高等学校の工業に関する学科を卒業(5年以上)
- 大学に入学する事が出来るもの(5年以上)
受講可能な免許
- 医師
- 一級建築士
- 技術士
- 第一種冷凍機械責任者免状
- 第二種冷凍機械責任者免状
- 臨床検査技師又は衛生検査技師の免許
- 第一種電気主任技術者免状又は第二種電気主任技術者免状
- 第三種電気主任技術者免状
- 衛生管理者免許
- 特級ボイラー技士免許
- 一級ボイラー技士免許
- 厚生労働大臣が上記各号に掲げるものと同等以上の学歴及び実務の経験又は 知識及び技能を有すると認める者
これらの受講資格がある方は101時間の講義を受けて、修了試験に合格する事で資格を得る事が出来ます。
しかしながら、受講には約10万円掛かる他、講習も約17日間に及びますのでこちらは試験とは違った難しさがあります。
建築物環境衛生管理技術者を取得するメリット
建築物環境衛生管理技術者を持っているとどのようなメリットがあるのかを紹介します。
求人の応募枠が広がる
建築物環境衛生管理技術者を持っている人を歓迎する求人は一定数あります。
ビルメンテナンス会社、マンションの管理会社などが多く、その業界で働きたいと考えている方にとっては非常に有利に働きます。
また、資格手当がつくところもあります。
年収を上げるためのステップアップとして
資格取得までの道のりはそう簡単ではない建築物環境衛生管理技術者ですが、年収はどのようになっているのでしょうか?
実は建築物環境衛生管理技術者を持つ人の平均年収は280万円~360万円というデータがあります。
そこまで大きな年収ではありませんが、この資格を持っている事で更なるステップアップが見込めます。
具体的にはその他の資格へと挑戦することです。
電験や危険物取扱者、ボイラー技士などはこの資格と相性もよいので、こういった資格を取得して建築物の管理としてのスペシャリストを目指してみるといいかもしれません。
資格を取る事で手当てを支給する会社もたくさんあります。建築物環境衛生管理技術者の年収が意外と低い事に落ち込まずに、可能性を広げてくれる資格という見方が出来ると思います。
まとめ
建築物環境衛生管理技術者について紹介しました。
これからの時代にはこういった資格を持っている事が強みになってくると思います。
建物がなくなる事はありえませんし、人が生活している以上必ず必要な資格です。
あなたがもしビルメンテナンス業界で生きていく事を志したのなら、キャリアアップのためにもこの建築物環境衛生管理技術者という資格はおすすめです。